SI業界は知識集約型ではなく労働集約型の産業であり、これにより日本のシステムはダメになっている。
IT業界と聞くと、学生や他の業界の人は最先端のことをやっているすごい人たちという印象があると思います。というより良く言われます。
ですが、SI業界に限るとこれは大きな勘違いです。*1
IT業界の2つの分類(SI業界とWeb業界)
そもそもですが、IT業界といっても大きく2つの分類があります。
SI業界(主に法人からの受託開発)とWeb業界(主にWebサービス等の自社開発)です。
SI業界の代表的な会社としては、NTTデータ、富士通、日立製作所、野村総研(NRI) 、日本IBM、アクセンチュアなどがあります。
Web業界について定義が難しいですが、代表的な会社としてはDeNA、グリーなどが挙げられると思います。この業界はベンチャー企業が多いです。
この2つの業界はプログラムを作るという点では共通していますが、仕事の仕方や考え方など全く別の業界と言ってもいいほど異なる点が多いのです。
2つの業界の違いについては、以下のサイトが参考になります。
next.rikunabi.com
SI業界は知識集約型ではなく労働集約型の産業である
ではSI業界がなぜ労働集約型と言えるのか。
すごくおおまかに結論をいうと、
スキルが高くない人でも開発できるように昔から使われている"枯れた"スキームを使って、難易度は低いが作業量が多いシステムを提案する傾向にあるからです。
これにはいくつか理由があると思います。
- 高スキルな人を少人数集めるよりも、低スキルの人をたくさん集めるほうが楽(SI業界にはスーパーな人はなかなかいない)
- 新しい仕組みや高難易度な仕組みを使うとプロジェクト失敗のリスクが高い
- SIerに最新技術に精通している人が少ない(技術力的にそのような提案ができない)
- ユーザから機能要件は出てくるが、それをどのような技術を使って実現しても問題ない事が多い(見栄えや使い勝手、保守性、拡張性等はないがしろにされることが多い)
この結果、現状の日本では使い勝手が悪く保守性や拡張性に乏しいシステムがたくさん出来上がっていると思います。
ビジネスとしてやるからにはリスクを削減することが大事ですが、仕事している立場からすると新しい技術って夢があって楽しいですよね。それがなかなかSI業界とマッチしないことはとても残念です。
ご参考までに労働集約型と知識集約型の違いについては、以下のサイトがわかりやすくまとまっています。
synapse-diary.com
どうしたら負のスパイラルから脱却できるのか
今のSI業界では何年か毎にシステムを作り直し、毎度使い勝手の悪いシステムが出来上がっている状態だと思っています。
このような現状は日本全体として無駄が多く、とってもよろしくない状態です。
この状況を脱却するためにどうすれば良いかひとまず色々と案を出してみました。
- ユーザがよりITに精通し、長い目で見てシステムの企画を行う。もしくは一度本気を出して内製化する(これらが一番の近道だと思っています)
- SI業界の社員を成長させてデキる人を増やす(高学歴の新卒が入ってきても現場では作業者として仕事をしていることも多いです。これでは成長できません。)
- 待遇や文化を変えて、優秀な人材のSI業界→Web業界の流出を防ぐ(実際、私の周りの優秀な人は転職してしまった人が多いです)
- スキルが高くない人でもいい感じのシステムが作れるようなフレームワーク等の仕組みを作る(無茶苦茶言ってますが)
- 受託開発のこの現状が変えられないのであれば、クラウド関連のサービスに移行する
最後に
この記事が「SI業界をより良くするにはどうすれば良いか」を考えるきっかけになれば幸いです。
*1:全てのSI業界がそうというわけではないですが、大多数は当てはまると思います